魔法都市


「そうか…」

奏の無事にホッとしている悠太を見逃さ無かった咲哉
最初に会ったときの印象は夕紀さんの息子という印象しか無かった

だけどもしかしたらこの世界を変えてくれるんじゃないか…なんて咲哉は思った

「はい、終わりました!」

「さんきゅ」

治療を終えると礼を言う
すると咲哉はその場を立ち去るようにドアに向かって歩く

「咲哉?」

「オレも弥生さんに報告してきますね。記録したやつも渡さなきゃならないんで。悠太さんここでゆっくり休んでていいですよ」

「あ、あぁ…じゃあ遠慮なく」

咲哉が出ていくと一息つく
腕の傷はすべて消えていた

まるで最初からなにも無かったかのように綺麗さっぱりに
治癒能力者だけあって治る確率は高く傷跡がまったく残らない

もちろん魔法を使う者にも治癒魔法の使い手はいるが能力者と魔法使いなら治療方法が異なる

「……こいつまた無茶したのか」

静かに寝息を立てながら眠っている奏
あまり顔色は良いとは言えないが無茶をしたことくらいは察しがつく

あの二人と連日ずっと施設を回っていたのは知っていたが何をしているのかまでは知らない

一体なにがあって倒れたのか起きたら聞くことにした