「なんであたしの名前知ってるの?」

《あら、10年くらい前に一度会ってるはずよ?"あの時に"》

(……あの時に?)

するとハッとしたように思い出す
奏は思い出した

目の前にいるこの女性が誰で、何者なのか

「は、ははっ…。ああ、あの時あたしを落とし入れようした…。思い出したわ」

《……クスッ。やっと思い出してくれた?あの忌々しい記憶から》

「えぇ。……さっそくだけど何の目的で現れたのか答えてもらいましょうか!黒羽百合華!」

《…………》

百合華はニヤッと意味深く笑う

奏は威勢よくそう言うと再び睨みつけ銃を向ける
ホログラムなため銃を向けて撃ったところで意味は無いが脅し程度なら充分だ






その頃屋上で待機してパソコンから啀み合う二人の様子を見る咲哉と蓮斗

"黒羽百合華"という名前に聞き覚えがあるのは蓮斗だ
咲哉は名前こそは聞いたことあるか無いか曖昧だが"黒羽"という言葉でもしかしてと感じた

「あの、蓮斗さん…。奏さんがさっきから話しているあの女性ってもしかして」

「ああ…。"黒羽百合華"。能力開発研究機関グループ黒羽の研究長だよ」

「黒羽ってあの10年前の事件の!?」