魔法都市


「いや、1箇所だけ明るいなって…」

パソコンの画面越しからでも分かる明るさだ
それだけ今日の月明かりは明るいと分かる

『とりあえず入ってみては?』と言うと警戒しながら奏はその部屋に入る

……だが、その部屋はすっからかんとして何も無かった

「なにも…ないわ」

『無い?物一つも?』

「えぇ…」

部屋にあったのは空になった棚とデスクくらいだ
恐らくこの部屋にあった物は持ち出されただろと考える

『奏さん、なにも無ければ移動しましょう?まだ1箇所目ですから急に何かが出るとは限らないですし』

『その通りだと思う』

「分かったわよ」

その後各部屋をくまなく入って物色するものの特にコレと言って何かが発見した様子もない
どこかの研究グループが居たのは事実だが散乱している資料を見ても大したことを書かれてるわけでは無かった

「……手掛かりらしきもん無しか」

そう呟いたあと屋上まで辿り着く
建物内の埃っぽさから解放されたおかげで空気が良い

そこから街の景色を見るとちらほら建物に灯りが付いている

『奏さんお疲れ様です』

「お疲れ様。特になにも無かったから今日のところは解散しましょ」

そうだな、と蓮斗が返事する
今日の調査はここまでとした