「父親は事故死。母親は病死。お父さんはあたしが二歳の時に亡くなったから全然覚えてない。お母さんは…」
「……?」
「………」
奏は少し黙る
「み…」
悠太が声を掛けようとしたとき奏がポツリと話し始める
「お母さんは…もともと病弱な人だった。だけど両親の記憶はあたしにはほとんどない」
「ほとんど?」
「物心付いたときには施設にいたから」
「え…」
「最初は捨てられたと思った。だけど…違った」
「水城…」
奏には親の記憶はほとんど無く四歳の頃に施設に入っていた
その施設には奏と同じく両親を亡くした子供たちが入っていた
「そして…夕紀さんや弥生さんと出会った」
「え…?」
「10年前の事件をきっかけにあたしは施設を出ることになった。最初は夕紀さんが引き取る予定だった」
「母さんが?」
悠太はいかにも夕紀らしいなぁと思った
「だけど夕紀さんには篠原くん(あなた)がいるということもあってあたしは弥生さんに引き取られたの」
「弥生さんが…」
「えぇ。弥生さんに引き取られて蓮斗にも出会った」
「………」


