伊「ところで……杏里は誰に追われてんの?」
……言えない。
誰になんて言ったら絶対この人達もあいつに連絡するかもしれない。
暴走族は裏に入りかけの連中が結構いたりするし…危険すぎる。
しばらく黙っているとため息が聞こえた。
伊「まぁ言わないと思ったけど…どうせ家出とかでしょ?
ニ、三日たったら家に帰れよ。」
帰るところなんて……
「…ないよ。」
ぼそっと言った言葉は誰にも聞こえなかった。
それから下にいた不良さん達に軽く挨拶をしてから余っている部屋があったらしくてそこを借りる事にした。
ってか倉庫なのにベッドって…すごいんですけど。
借りた部屋に入り、ベッドに飛び乗った。
数年か前に倉庫の中だけを改装したらしく、住む事が可能になったらしいんだけど…誰か金持ちがいるのかな。
じゃないとこんなに…ねぇ……。
「それにしてもこれからどうすればいいんだろう…。
どれだけ逃げれるか…
捕まったら私に明日は無い。」
久々に走って、緊張の中逃げ出してきたせいか眠くなってきた。
私は何の抵抗もなしに瞼を閉じた。
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