・・・顔に出しすぎですよ、唯さん。
「るなさー、協力してあげよっか?」
「結構です。」
と答えた同時にチャイムが鳴った。
唯は急いで自分の席に座った。
内心私はホッとしていた。


私はまだ恋をした事がない。
誰かを好きになった事がないと言えば嘘になる。
私が好きになった人は必ずと言って良い程、遠い、遠い存在の人。
だから私はこれを恋とは呼ばない。


他生徒が急いで席に戻っている。教卓で数学の先生がその様子を見ていた。
そう言えば、教科書出してなかったなぁ…。
机に手を突っ込んだ。
ノート、ファイルに筆箱、教科書。
あれ?教科書…ない。
私は急いで机に掛けていた鞄の中を探った。
けど、出てこなかった。