一年生になりたての春。
私は初めて大地に会った。
そして恋を知った。


「ねー。教えてよ、るなのタイプ。」
次の科目の教科書類を机から取り出しながら唯は言った。
「い・や。内緒だよ。」
少し苦笑いしながら唯に微笑む。
席を移動した唯は私の前に来て両手を合わせ、拝むようなポーズをとった。
これは来る。目そらさなくちゃ・・。
「お願い?」
間に、会わなかった。
「・・・分かった。」


人に何かを頼む時の唯の必殺技。
上目使いに+首をかしげる。
これを見てしまったら誰も逃げることが出来ないだろう。…おそらく。
「絶対誰にも秘密だよ。…顔。」
「何々?聞こえない。」
「顔が...かわいい人。」
普段の私からは柄じゃないから誰にも言いたくなかったのだけれど...。
恥ずかしくなってうつむいた。
でも唯は逃がさないとでも言うように私の顔を覗き込んだ。
その顔はたくらみの顔。