玲はまた塀を登り次の敷地へ侵入していた。

「もーー!どっこにも居ないじゃんか!!」

プリプリと怒りながら走る後ろには数多くの屍が・・・。

(注)殺してはいません。






螢は侵入者の先回りをする為に走る。

侵入者の目的は人捜しらしい。

目的が何であれ、捕まえなくてはならない。

螢はある建物の通路に面する廊下で足を止める。




恐らく…、

倒れてる人達の続く先を見ると順に回っている。

ならば必ずこの場所を通るはずだ。

姿さえ捉えられれば捕まえられるはずだ。



スッ




屋根の上をから黒い影が降り立った。

静かに着地したその影は侵入者の特徴と同じものだった。








数分前、

この敷地に八城と言う奴は基本来ないらしい。

玲が倒した奴等から聞き出した情報。

ならばここにいても仕方ない。

下で一々止められ戦うのも面倒だ。




ダダダダダッ




玲は建物の屋根の上を勢い良く走る。

隣の敷地とを遮る塀が見えたが、屋根の端からそれを乗り越えるのはさすがに距離がある。

「はぁ・・一旦降りなきゃ。」


ストッ


地になるべく音を立てないように着地する。

「さ、次だ!」

勢い良く走り出そうとすると人影が玲を覆った。

身の危険を感じすかさず避けると、刀が空中を切る。

「危なぁ~っ!そんなもん振り回さないでよ!」

文句を言うと青年の眉間に皺が寄る。

「うおっと!?だから、あぶなっひどっっ!!」



タンッ


玲は青年から距離を置く。

だが、いつの間にか周りを囲まれ振り切って逃げる事が出来なくなっていた。

「螢さん!援護します!」

取り囲んでる雑魚どもが騒ぎ出す。

螢と呼ばれた青年は刀を玲へと向ける。

「侵入者。お前は誰を捜してる?」

「ここの敷地には居ないと聞いたぞ!一々回るの大変なんだからなっ!」

「だから誰を捜してると聞いてるんだ!」

立場を考えない発言に玲を睨みつける。

「・・・・・・・・八城。
八城って奴を捜してる。出せ。」

「言葉には気をつけろよ?」

螢の額に青筋が見えた気がした。






「お~い、大丈夫か?」

飛びかかろうとした螢の肩をポンッと軽く叩き、緊張で満ちていた空気を一瞬にして壊す、のほほんとした青年が現れた。


「お前、空気読んで来いよ・・。」

呆れたように言う螢に青年は首を傾げる。

「?  ! あれー?」

玲に目を向けると青年はそのまま近づいて行く。



「玲だよね?」

「?」

今度は玲が首を傾げた。

「ほら、さっき廊下で会ったじゃん。」

「! あー・・。」

「で、これ、何してんの?」

「いーから戻れバカ!!そいつ例の侵入者だから!!」

危機感も無く近づいて行った青年を必死で呼び戻す螢。

「え?玲が?!」

だが青年は未だにのほほんとしていた。

螢の慌て振りに玲が疑問に思う。



「アンタ名前は?」

「あー、俺?」

「辞めろっバカ!!」