「あっ!、」
疲れてきたためか少し大きめの石につまずいてしまった。
だけど、海斗はそれを見逃さなかった。
僕の手をがっちりつかんで助けてくれたのだ。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
安心したのか海斗は、少しはにかんで笑った。
「棗、少し休もうよ。」
まるで僕の心を見透かしたようだった。
「でも…」
「大丈夫。学校では毎年登っているからどこがゴールなのか知ってるし、それに僕だって疲れちゃったから。」
そういう海斗は、逞しかった。
僕は、その場で休憩すると思い早速地面ににしゃがみこもうとすると…。
「ごめん棗!どうしても棗に見せたい場所があるんだ。だから、もう少しだけ歩けるかな?」
いつも僕のことを気にかけてくれる海斗の優しいワガママだった。
だから僕は、重たい足を旧い立たせて海斗に続き歩き出した。

