自然と出た言葉は亮を困らせる言葉だったと思う。
でもね、断られたら誰でも残念だと思うよ。
それに亮は、いつも私に誘ってくれないんだもん。


「ごめん・・・明日行こ!・・・な?」

「・・・うん!」


明日と言う言葉が嬉しくて亮に抱きついてしまった。


「え?あ、有紗ちゃん?!」


そんなに驚いちゃって、亮は照れてるかな?
亮の胸にうずめていた顔をバッと上げ亮を見つめた。
絡まる視線と熱くなる顔。


「あ、有紗ちゃん?」


顔を真っ赤にしている亮の姿が可愛くて、でも整った顔がカッコ良くてそっと顔を近づけた。こんなに亮と接近できるチャンスは今しかない。


「・・・待って、ストップ。」


そう言ってあと数センチで重なりそうだった唇が亮によって離されてしまった。
どうして・・・?
私とキスするのは嫌なの?


「有紗ちゃん、ごめん!」


そんな顔したってダメだよ・・・。
そんなに悲しい顔をして謝ってもダメだよ・・・。


「亮のバカ!・・・もう別れるもん!」


口から出た言葉に自分でも驚きながら走って亮から逃げた。


「有紗ちゃん、待って!」


後ろから聞こえる亮の声も無視。
亮から見えなくなるまで走った。走って走って息が荒くなる。

亮のバカ。
私は、こんなにも亮の事が大好きなのに亮は違うのかな?
告白して来たの亮からなのに。
それともキスはしたくないの?
見た目は女好きって感じなのに。

学校に着いたのに教室までが、とても遠く感じた。
朝から喧嘩なんか本当に辛いよ。

亮はまだ着いてないよね?

別れるなんて言ったけど本心で思ってるはずがない。
・・・でも悲しかったんだよ。亮から拒否されたみたいで。

涙が出そうになっても、こらえたんだからね。
亮とは学年が違うから教室に居たら会うことはない。
それが唯一に救いだった。