「亮、帰ろう!」


そう言って私が手を掴んだ相手は彼氏、亮。


「有紗ちゃん、帰ろーか。」


亮はニッコリと笑顔を浮かべて私の手に自分の手を絡めた。

亮は私より1つ年上だ。
背が高くて見た目はチャラチャラ系に見えて女好きって思われがち。
だけど中身は本当に優しくて一途な人なんだ。

告白をして来たのは亮の方で今では私も亮が大好きだ。
それに付き合ってもう半年も経つ。
時の早さに驚くどころか私と亮は何も進展などしていない。

驚くのは、この進展のなさだよ。
悲しすぎて涙が出そうだよ・・・。

手は繋いでる。
デートだってそれなりにしてる。
でも、それ以上はしてくれない。まるで付き合いたての初々しいカップルの様だよ。
欲求不満とかじゃないけど、やっぱり彼女としては悲しい。
キスはして欲しいよ・・・。


「有紗ちゃん、聞いてた?」

「え?ごっ、ごめん!」


横から顔を覗き込んでくる亮に思わずドキッと胸が鳴った。


「あれ・・・亮はこっちの道じゃないの?」

「今日は送って行くよ。」


ニッコリと笑って言う亮に優しさを感じる。それに笑顔までもがカッコイイ。
こんな人が私の彼氏だなんて凄く幸せ者だな。


「有紗ちゃん、また明日。」


私の家に着き、亮は玄関前で手を振った。
その亮の笑顔がカッコ良くて、あたしの左胸はドキドキと音を鳴らしている。


「うん、ばいばい!」


私も手を振ると亮はニコッと笑い自分の家路へと行ってしまった。