「言っとくけど、俺は璃里香ちゃんに話しているんだからね。悪いけど彼氏持ちの夏香ちゃんには興味ないよ」

「あれ、高橋くんって文学部だったっけ?」

「んーん。教育学部」

「うそっ。あんたみたいなチャラ男が先生になるん? 世も末やわ」


なつは容赦ない。


「教育学部にまでなつの噂広がってんの?」

「人の噂って結構広まるよ~。特に夏香ちゃんは美人だから入学当初から知られてたよ。そんな子がそれこそチャラい先輩と付き合うとはねって」

「ちょっとあんた、ケイゴくんはチャラくないで。中身は立派な紳士や」

「なつ、悪いけど、あたしもケイゴくんが紳士なんて想像つかないんだけど」

「なんや璃里香、うちがせっかくこの男の毒牙から守ってやっとんのに、あんたはうちを裏切るんか」

「頼んでないし……」


なつは早いとこ撤退させたほうがよさそうだ。