「どっちに触れたいか? ……どっちもだよ」


誠ちゃんはテレビの中の世界の人だけど、現実にいたらすごいアプローチするんじゃないかな。


誠ちゃんの肌、綺麗なんだろうなあ……。


「あえてどっちかって言ったら?」

「え、そこまで決めなきゃなんないの?」

「あんたのために問題提示してるんやけど」


……どっちかって言われても。


「あ、すみません。その席の中に俺のノート入ってません?」


あたしが思考を巡らせていたら、頭の上で声が降ってきた。


顔をあげると、目の前に男が立っていた。


「え? ……あ、これですか?」


机の中を覗いてノートを差し出すと、男はにっこり笑って「ありがとう」と言った。


わあ、すごいイケメンだあ。


MEWSの手樫くん似かも。


見た目も中身もチャラいけど、言ったことはちゃんとやってのける憎めないキャラなんだよね。


「ちょっと、うちの璃里香に何か用?」


あたしの目の前の男の子に見とれていたら、なつが横で尖がった声を出した。