目をつぶると、部屋の電気が消えた。


しばらくして頭の上に何かが置かれる。


翔さんの手だと、すぐにわかった。


あたしの頭を撫でる大きな手。


今目を開けるのもバツが悪くて、あたしはそのまま動かなかった。


あたしの上の手もしばらく動かなかった。


────頭の上にあるこの手を独り占めしたい。


そう思うのは、おかしいこと?


「ごめんね……おやすみ」


低い声があたしの鼓膜を震わす。


耳元にわずかな熱を感じて、すぐに離れた。


翔さん、今……あたしの耳元で言った……?


かっと全身が熱くなる。


翔さんが頭に手を置いたままあたしの耳元で囁いて……。


やばい。妄想が止まらない。


一体、何のごめんだったのだろう。


遠くでわずかな物音がして、やがて聞こえなくなった。


翔さんの意地悪……。


あたしは体の熱が引かなくてなかなか眠れなかった。