「姉貴、見てないで助けろよ! 弟が彼女にフラれてもいいのか!」

「遅刻したくらいで振られるんなら、それほどの女ってことだから」

「俺の彼女は一分でも遅れると激怒すんだ!」

「諦めな。もしくはこっちから振ってやれ」

「姉貴~!!」


慶汰がうるうるの目であたしを見てくる。


その目で見んなよ。


顔をしかめて無言で弟に訴えるけど、それどころではないらしい。


あたしは三度目のため息を吐いて、慶汰から兄貴を引きはがした。


姉貴は弟の訴える目に答えてあげたくなるのだ。


「はい、いってらっしゃい。後でクランキーのアイス買ってきてね」

「いってきます!」


……あたしの注文は弟の耳に入ったのだろうか。