今、一番辛いのは翔さんなのに。


あたしはなんて最低な女なんだろう。


自分のことばかりだ。


翔さんは静かに涙を流していた。


「優希…………」


翔さんは彼女の名前を何度も呼びながら、あたしの首筋に吸い付いた。


あたしの首筋に、翔さんの熱と涙が降ってくる。


あたしはその刺激に時々反応しながらただされるがままだった。


翔さんを慰める方法なんてわからない。


ただ……………………


「翔さん。あたしを、壊してください」


最初はそのつもりで来たわけではない。


でも、好きな人が悲しんでいるのなら、少しでもその悲しみを取ってあげたい。


そのためなら、壊されてもいい。


「……りー」

「あたしにぶつけていいんですよ」


これに乗じて翔さんの心まで奪おうとはとても思えない。


あたしには入れないほど、翔さんの心の中は優希さんで埋め尽くされている。


それでも…………いつか…………と思ってしまうあたしなど、地獄に堕ちてしまえばいいのに。