「じゃあ、順を追って話そうか」


ケイゴくんがあたしとなつの間にあぐらをかく。


「まず、俺と翔が中学からの腐れ縁ってことは知ってるよね?」

「はい」

「自慢じゃないけど、俺と翔はお互いのことは知り尽くしてる」

「はい」

「翔は奇癖を持っててね。翔の近くにいる女が自分のせいで傷つきそうになったら、俺にまずメールしてくるんだ」

「……え?」


何それ……?


「内容はくそむかつくよ。『今からこいつを傷つけてくるから』みたいな感じで」

「何やの、それ。性格悪ないか?」


なつは相変わらず翔さんをあまりよく思っていないらしい。


「最初は何これって思ったけど、それが何度もあって気づいたんだよね。こいつ、たぶんもうなけなしの理性でこれを送ってきたんだなって」

「どういうことですか?」


ケイゴくんはふう、とため息をついて、それから口を開いた。


「あいつはね、俺に助けを求めてたんだ」


あたしとなつは同時に首を傾げた。


結論を言われても、それがどういうことなのか理解ができない。