それから家に帰ると母はまた帰ってきていなかった。


リビングで録画した番組を見ることにした。


今日は水曜日。誠ちゃんがニュースキャスターとして出る日だ。


あたしはその時間に講義があるからリアルタイムで見れないのだ。


再生ボタンを押すと、お辞儀している誠ちゃんが映った。


「誠ちゃ~ん!」


スーツ、今日も相変わらずお似合いですな!


もう癒しだよ。


原稿を読む誠ちゃんにニヤニヤしてしまう。


翔さんもキャスターだったらこんなかな。


すごくかっこいいんだろうなあ。


「あ、大山だ」


お風呂から上がってきた兄貴がリビングに入って水を飲んでいた。


「そんなアイドルに夢中になってるようじゃあ、りりは彼氏どころか好きな奴もまだまだだよな」

「うるさいな。話しかけないで」


兄貴の方に振り向きもせずに言い放った。


あたしにだって好きな人くらいいますよ。