エンドレス・ツール

「あれ、璃里香ちゃんだっけ?」


トイレから出た瞬間、背後から男の声がした。


さっきのチャラ男が頭をよぎる。


しつこいっ!!


いらっとして、顔を強張らせながら振り向く。


「へっ……」


思わずマヌケな声が口から出た。


そこにはいたのは、男は男でも、さっきのチャラ男ではなかった。


さっきからいらいらしてたから、チャラ男の声がどんなものか覚えていなかったのだ。


きゃああああ。すみませーん!!


自分の勘違いに恥ずかしくなって、顔が火照る。


心臓の鼓動も早くなる。


「え、と、璃里香ちゃん……だよね?」


さっきの声の主が、不思議に思ったのかもう一度聞き返した。


「あ……は、はい、そうです」


おそるおそる顔をあげる。あたしは、再び心臓の鼓動が早くなるのを自覚した。