なんで遠野がここにいるんだ。 遠野ならクラスの打ち上げとか率先してやりそうなのに。 俺がいるのにも全く気付かない遠野。 ……寝てるのか? そう思って、さらに近づいてみる。 その寝顔があまりにも無防備すぎて。 「ふっ……」 なぜか笑みがこぼれた。 でもすぐに俺の顔からは笑みは消えた。 「……パパ……ママ……」 ……そう言いながら、遠野から一筋の涙がこぼれたから。 それは、普段元気な彼女の初めてみる涙だった。