それぞれが自分の場所に移動して。 「よーいスタート!」 合図で佳奈美がスタートする。 それから、バトンがどんどん渡っていく。 「琴葉ちゃん!」 ……そして、とうとうあたしの番。 本番出したくないけどちょっとは本気じゃなきゃだめだよね? そう思って、ラスト少しスピードを上げてゴールした。 「―――やっぱり琴葉は速いよ」 練習が終わって、水道に向かう途中に佳奈美が言った。