【隆太side】


遠野にもらった紙に書いてあったのは沙織さんの携帯番号。


学校を飛び出した俺は、走りながらその番号に電話をかける。


何度かコールがなった時。


『もしもし?』


聞き覚えのある声が聞こえた。


「……俺です」


『隆太……?私、どうしても話したくて……』


「そのために電話したんです」


『……今からあのカフェに行くわ』


久しぶりに聞いた沙織さんの声。


透き通るような、綺麗な声。


その声を聞いたとき、俺の頭の中にはあの頃のことが鮮明に映し出されていた。


……俺は、沙織さんを愛していたんだ。