「…はぃ。」
「はぁ…」
え?ため息…?
「え?なんでですか?」
「あのさ…春樹ちゃん。記憶がないかもしれないけどさ?」
「はい…」
「祥大は本気だったよ?」
「え?」
祥大が、本気?
いやいや…千奈さんの話だったら…遊びだって…
「千奈に言われたの?祥大が遊びだって。」
「…はぃ…千奈さんに…」
「ば…」
「ば?」
「ばかっ!」
ば…ばか?
「わたしだって、祥大のこと好きだった!わたしは…春樹ちゃんに譲ったけど…千奈には譲ってないから!」
「…アヤメさん…」
アヤメさんは、わたしに祥大を譲ってくれた?
「祥大が、初めて本気になった女の子なのに…祥大、今どんな気持ちかわかる?」
「それは…」
わたしってば…最悪だ…

「今なら間に合うよ。千奈に、祥大を渡していいの?」
そんなの…そんなの…
「いやです。」
「それでこそ、春樹ちゃんだっ!もう、一生祥大を手放すんじゃないよ?」
「はいっ!」

ズキッ

「いたっ…」
頭痛と共に…いろんな場面が頭に入ってきた。
「え?春樹ちゃん?!」
アヤメさん、ううん…
「アヤメちゃん…ありがとっ♪」
「え…春樹ちゃん。記憶…」
「うん。思い出したっ」
「…春樹ちゃん…」
アヤメちゃんは…わたしに抱きついた。
すると、わたしの目から涙が溢れた。
「さっ!はやく、祥大の所に行くよ?」
「あ、うんっ!」

記憶を、取り戻したわたしは…
アヤメちゃんと一緒に、
祥大の家と向かった。