目が覚めると見たことのない…
真っ白い天井が目に写った。

「ここは、どこ?」
「春樹ちゃん。目が覚めたみたいだね。どこか、具合悪いところはない?」
白衣を着た、優しそうな20代前半の人がわたしに話しかけてきた。
「あの…どちらさまですか?」
「……矢崎だよ。ここは病院。」
「ということは、お医者さんですか?」
わたしってば、なんで病院なんかに?
「そうだよ。今、ご両親来るから待ってて?」
「あ、はい。」

ガラッ

「春ちゃん?!」
「春樹!!」
そう、わたしの名前を呼びながら2人大人が病室へ入ってきた。
そのあとにもう一人、男の人が。

「あの…どちらさまですか?」
わたしの質問に病室に入ってきた三人の人…お医者さん、その場にいたナースさんたちはびっくりした顔をしている。
けど、わたしの記憶にはこんな人たちは記憶されていない。

「春樹。覚えてないのか?俺はお前の父さんだぞ?」
と、ちょっと太めの優しそうな男の人がそういう。
「わたしは、春ちゃんのお母さんよ?で、こっちが春ちゃんのお兄ちゃん。」
女の人は自分を母と…もうひとり若い男の人をお兄ちゃんだと紹介する。


「ご家族の方々…少々お話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。じゃ、春ちゃん…待っててね?」
そういうと…みんな病室からでていった。


…も、もしかして…わたし記憶ないの?


ガラッ

「こんにちわー、春大丈夫?」
「はる、大丈夫か?」
わたしと同じくらいの年齢の人…
「わたしの友達?」
「は、はる?なにいってんの?いとこじゃんっ、冗談もほどほどに…」
綺麗な顔立ちの女の子はわたしにそういってくる…
でも、わたしはほんとに…
「覚えてないんです。すいません…」

わたしには、謝るほかなかった。

「春ちゃん。あ、玲奈と和くん、こんにちわー。」
「あ、おばさんこんにちわ。」
「ちわっ、」
「実はね?春ちゃん…記憶喪失になっちゃったらしいの…」
「き、記憶喪失?じゃ、記憶戻らないんですか?」
「なんか、腫瘍が残っててまた悪化しちゃって…なんか、ストレスたまり過ぎて…記憶喪失に…」
「す、ストレス…」
…わたしのせいでみんなが困ってる。
どうしよ。
と、とりあえず…
「あの!すいませんっ」
謝るしかないよね?

「…春ちゃんは、なにも悪くないわよ?」