「あ、あの…祥大…これには訳が…」
「言い訳はいらない。帰るぞ…」
「でも…」
瑞稀くんは、もちろんわけがわからないような顔をしている。

「なに?そんなに、その男がいいわけ?んなら、それでいいんじゃねーの。」
「ち、ちがっ…」
「ちょっと、待てよ!君が誰か知らないけど…赤城をいじめないでくれないか?」
と、瑞稀くんはわたしの前に立ちはだかる。
瑞稀くん違うよ?
わたしは、いじめられてなんかないよ?
祥大は正論を言ってるだけだから…

「ほぉ?誰か知らねえのに言ってんの?じゃ、口を突っ込まないでもらいたいね?お前には、関係ないから。」
「わかるわけないだろ?」
「逆ギレか?」
ど、どうしようこのまま言ったら喧嘩になっちゃうよぉ…
「じゃ、いったい誰なんだよ!」
「そいつに聞けよ。」
「赤城、あいつって…」
とりあえず…祥大を連れて帰らなきゃ。
「瑞稀くんまたね?今日は、ありがとう。祥大、海のご飯の時間だから帰らないと。」
「ちょ、赤城!」
「いい加減にしろ。」
と、祥大が捨て台詞をはいたが…わたしは無視して海を連れて先へ先へとあるいた。


気づくと、住宅街にはいっていた。
「おい。」
「………。」
ダメだ、祥大の顔みれない…
「なぁ、お前さ…浮気してんのわかる?」
「ごめんなさいっ…」
…こうやって、謝ることしかできないなんて……
わたしって、なんて最低なんだろう。

「海。」
「え?」
「海って、俺たちの子って言ったけど…ほんとはあいつの子なんじゃねーの?」
「ち、違うっ!!」
「どーだか?」
「ほんと!信じて!」
「信じてやりたいけど…今は無理。ごめん…」
そういうと、祥大は…わたしの家とは反対方向へ向かって歩き出した。

わたしと、海はその場に残された…

「…ひっく……ぅわぁぁん…」

なんで、瑞稀くんと一緒にいたんだろ?
いなかったら、祥大怒らせることなんでなかったのに…

「海ー…海ー、どうしよぉ…あなたの…パパ…が…っひっく…」

とりあえず、うちに帰らないと…


わたしの家の近くに、大きな家が建てられていた。
まだ、途中だけど…
「こんな家に、祥大と海と三人で暮らせたらいいのに…ね?海…」
そんなこと…もう叶うわけがない…