「大丈夫か…?」
「あ、うん…」
でも、そのあとに小声で…
「ほんと、ドジっ子。」
…優しいと少しでも思ったわたしがばかだった。
「……祥大ー!そんなやつほっといて話のつーづーきー♪」
「あ、大兎お兄さん…僕、春樹が大事なんで先に手当しちゃいます。」
「…あーもー。俺彼女んとこいってくるー。あ、その前に!」
と、たいにぃは祥大になにかを耳元で伝えたあとふてくされてリビングから出て行った。
たいにぃがいなくなるとリビングは一気に静まりかえっていた。

「ったく…コーヒーごときで火傷すんなよなぁー?」
「…すいませんー…」
いまのわたしには謝ることしかできない…
「はい。出来た。」
「はやっ!」
話をしてる間に終わってた!
さすが祥大…医療の勉強をしてるだけあるー…

「……お前の兄貴…」
「え?」
まさか、嫌いなの?
「いい人だな。俺は結構好きだなー。あーゆー人。」
「…好きなんだっ!」
よ、よかったぁ………
これで、結婚してもうまくやってくれそー♪
…って、わたしってばまた、なにを言ってるのっ?!

「で?なんで…お前はコーヒーをこんなに溢れさせてる?」
と、コーヒーに指をさしながら呆れた口調でわたしにいってくる…

なんでって…
言えない!たいにぃとの会話を盗み聞きしてたなんて!まぁ、結局聞こえなかったんだけど…
「なに?まさか、盗み聞き?」
「…そ、そんなわけないじゃん?」
な、なんでわたし噛んでるの!?
まるわかりじゃんっ!
「はい、予想的中〜♪」
「…ごめんなさい。」
「はいはい、すぐ謝れるのはいい子だな〜♪」
と、わたしの頭をくしゃっと撫でて子ども扱いしてくる。
もー!わたしは、子どもじゃないっつーのー!
けど、嬉しいとか不覚にも思ってしまったっ…悔しい…

「知りたい?なに話してたか…」
「うん!知りたい!」
「じゃ、今日の夜なー?」
「よ、夜って…泊まっていくの?」
「そーだけど?」
へー…そうなんだぁ…って…はい?
「なに当たり前みたいなことを!」
「いやぁ、お前の兄貴が泊まっていけってよー。」
「だからって…ほんとに泊まるの?」
「なに?不満?」
「いえ…嬉しいです…」
「だろ?」
祥大は、勝ち誇ったようにそういった。

「じゃぁ、もぉー遅いし…寝るか?」
「え?あ…うん…」
と、わたしの手をひいてわたしの部屋に向かってる祥大…
普通…逆じゃない??