「わぁ、おっきーっ」
「だろ?俺も最初驚いたっ」
「…祥大。祥大の婚約なくなるかな?」
「あぁ、大丈夫。俺を信じろ。」
ピンポーン…

「どなたー?…あ!祥大っ」
「…おぅ。」
さ、最初から千奈さんが出てきた…
緊張するっ…

ギュッ

えっ?
“大丈夫だから”そう言うかのようにわたしの手を握ってきた祥大。
…祥大っ…“ありがとう”そういう気持ちを込めてわたしも握り返した。

「上がってってよっ♪…って、春樹ちゃん居たんだー?上がって行きなよっ♪」
祥大とわたしは大きな家にはいって行った。
「今、お茶用意するねー?」
「千奈、両親は?」
「今、デート中ー。私達もデート行く?」
「行かない。」
「だ、だよねー…」
と、ちょっと落ち込んでしまった千奈さん。
なんか、可哀想…
「はい。これ、紅茶ね?」
「さんきゅ。」
「と、パウンドケーキ。」
「ありがとうございます…」
「で?なにしに来たの?」
「…わかんだろ?」
祥大?
「わかんなぁいっ♪あ!春樹ちゃんちょっと来てくれるー?」
と、わたしの手をひっぱってリビングを出た。

「なんですか?」
「春樹ちゃん…記憶戻ったの?」
「戻りました…」
「ふぅーん?だから、祥大と仲良しこよし?」
「そ、そうだったら?」
「はやく、別れてよ。あとから来たくせに迷惑よっ!わたしは、1年生の冬に婚約をしたのよ?」
「そ、それは…それは…」
「おっと…千奈。それは残念…俺と春樹は1年の夏から出会ってんの。」
祥大っ?!
もしかして、あの…電車で助けてくれた話をしてるの?
「な、なによそれ。」
「俺たちは1年の夏から付き合うって決まってたこと。」
「じゃ、婚約は?」
「婚約…?そんなもん。親が決めたんだよ…俺は、ほんとに信用したやつとしか付き合いたくねーし。」
「………グスッ…」
あーあ、祥大。
千奈さんを泣かせちゃったよ…
やり過ぎだから…
「この婚約、破棄したいから…親呼べ。」
「…いやよ…」
「ちっ…呼べって言ってんだろ?」
「ねぇ?祥大。」
千奈さんは、リビングに行くと包丁を持ってきた。
え…?包丁…?

「わたしと一緒に死にましょ?」
ち、千奈さん…?
「おい。千奈…正気になれよ…」
「しょ、正気よっ!」
「なら、まずは包丁をおけ。」
「いや…一緒に死ぬのっ!」
「ち……さ…やめ…」
ダメだ…声が震えてうまく声がでない…