言ってる傍から、無謀にもこのヌイグルミに近づいた命知らずの野次馬がモコモコの手に捕獲された。
ヌイグルミはちょっと考えた挙句、捕獲した人間を腹のポケットにしまいこんだ。
ぬくい純度百パーセント天然の毛に包まれた感想はどうだ。
うーん、ちょっとウラヤマシイ。
ヌイグルミはさらに捕獲を試みたが、一人捕獲されたことで野次馬の輪が遠ざかったので、手が届かないようだ。
ピコピコと手旗信号を繰り返すより、路地を抜け出ることに専念すべく、再び腹をへこませプルプルしだした。
「……て。アレで路地を抜けて、腹のニンゲンは大丈夫っすかね?」
「ポケットに入れたビスケットを自ら叩いて粉々にしておいて、数が増えたと喜ぶアレは絶対単なる痩せ我慢ですよね。クス。」
「いや。笑い事ではなく。」
「大丈夫です。」
「何を根拠に?」
「あの生物は生食を好みません。食料は一旦巣穴に持ち帰り熱調理するので、また助け出す時間的余裕はあります!」
「潰れるんじゃないか、という問題点は見事にスキップですか……」
俺は溜息を吐いた。


