俺が指し示すのは窓の外。
怠惰で平和な民家が臨めるその場所で、こともあろうか校舎に匹敵する巨大くまのヌイグルミがごそごそ動いている。
クマのヌイグルミといっても世界的に有名なアレとは似ても似つかず、微妙にイラッとくるザンネンな顔付きだ。
クラスメートの阿鼻叫喚は、このヌイグルミの出現に慄いたためなのだろう。
ヌイグルミは町の破壊工作に乗り出すわけでもなく、サイズにそぐわぬ路地を通り抜けようとして引っかかり、立ち往生している。
なんともはや・・・猫だって自分の髭で通り抜け可能か否かを測るというのに。
ニンゲンであればメタボ確定のぽっこりお腹をへこませてプルプルしながら路地を抜けようと奮起しているヌイグルミを遼遠に眺めていると、愛川さんが再び口を開いた。
「ああ、あれは世界記号1129の生物です。温和な性格で草食なんですよ。」
「はぁ。ならなんの問題もないじゃないですか。・・・ちょっと嵩ばりますが。」
「あれでも彼等の世界では普通サイズなんです。ちなみに彼等の世界では植物にふんだんな蛋白質が含まれます。」
「・・・・・・・・・」


