愛川さんは転校生だ。
こんな辺鄙な時期に何があって引越だ?
父が仕事でヘマをやらかして左遷か、それとも彼女は実は相当なワルで、退学を食らった挙句トラバーユ?
いやいや、お金持ちは左遷なんかじゃなくても、気分で地球の裏側程度の距離をサックリ移住するもんなのかもしれない。
噂では、彼女の家はベルサイユ宮殿並みの豪邸との事だ。
じゃ、俺ってば逆玉ぢゃん☆
いやぁ~、まいっちゃうな。
将来は鼻の下にちょび髭を生やし、ガウン姿で暖炉の前の椅子に座ってブランディーでも軽く嗜むか。
おっと、ブランディーを上手に揺らすために手首の鍛錬を自らに課さねばな。
…………なんて
虚しい妄想はこの辺で止めとくか。
多分、この教室の八割方が同じ妄想で盛り上がっているハズだ。
愛川さんが転校してきて同じクラスになったというだけで、殆ど話ししたこともないしね。
俺はサクッと気分を切り替え、日課の朝寝を慣行するつもりで机に突っ伏した。
え?今?ホームルーム前だけどナニカ?
寝る子は育つって言うしね。


