リクは軽く屈伸を繰り返し、スタートに備えている。
そして、ピストルの音が空気を震わすと、リクは勢い良く走り出した。
一人、二人と抜いてあっという間にトップを走るリク。
セットされている机の上に並べられた数枚の紙の中から一枚を手にしたリクは、一瞬考えた素振りを見せた後……
何故か、私を見た気がして。
「……あれれ?」
気のせいかとも思ったけど、リクはこちらをめがけて走って寄ってくる。
そして──
「こーはるっ! ちょっと付き合って」
たどり着くなり私の手をグッと引いた。
私はリクの力に引かれるままクラスの控えスペースから出されてしまう。



