桜涙 ~キミとの約束~



簡単に出来ない話題なので口に出さないままでいると、奏ちゃんは「そろそろ戻るよ」と言い残し二年の席へと戻っていってしまった。

その後ろ姿を見送りながら、そういえば……と気づく。

最近よく見る夢。

その夢の中で、男の子はひとりぼっちだと泣いていた。

奏ちゃんも小さい頃に、ひとりぼっちだと言っていた。

もしかしたら夢は、記憶?

考えを巡らせて見ても答えは出る事はなく。

ただ、どこかでひっかかりを感じながらも、リクにカップケーキを届ける為に立ち上がる私。


「いっただきまーす」


受け取ってカップケーキをかじるリクは、いつもと変わりなかった。