桜涙 ~キミとの約束~



……さっき、目が合った時は普通だったし……普通に、渡せばいいんだよね。

そう思った刹那、リクの声が脳内でリフレインする。


『オレ、男だよ。幼馴染だけど、男だ』


今思えば、このあと茶化すように『なんてね』と続けられたけど、男だよと告げた声はふざけたものじゃなかった。

リクがどんな心境で言葉にしたのかを考えたら、自然と友達とじゃれあうリクに視線が行ってしまって。

ボーッとリクを見ていたら──


「……小春?」


奏ちゃんに声をかけられ、私はハッと我に返る。