体育祭運営委員の女生徒が、アナウンスで最初の種目の名前を告げると、各色の応援団が大きな旗を掲げた。

赤・青・白の旗は、穏やかな風をその身に受けて、気持ちよさそうに波立っている。

青空と、大きな旗と、生徒たちの声援。

競技により空中を舞う砂埃は少し煙たかったけど、活気ある雰囲気のおかげで不思議と嫌な気分にはならなかった。


「小春、そろそろ移動だって」


よっちんに声をかけられて私はひとつ頷くと立ち上がる。

現在の種目は100メートル走。

これが終われば、私が出る騎馬戦だ。

ちなみに100メートル走の前には200メートル走があった。

それには奏ちゃんが参加していて、気合を入れて応援した結果、堂々の一位だったんだけど……


「柏木先輩、さすがだね」


私と一緒に騎馬戦に参加するよっちんが、移動しながらその話題を口にした。