泣かないで。
元気を出して。


そっと少年に触れようと手を伸ばせば、嫌がるようにパシンと音を立てて払われた。

仕方なく同じように桜の木を背にしゃがみこむ。


「わたし、こはる。あなたはどこのおうちのこ?」


返ってきた、小さな声。


「  」


よく聞き取れなくて、耳を澄ますと……