「呼びかけても起きないからさ、お前のノート借りてお仕置きしてみたんだ」

「あっ! それ私のノートだったの?」


リクの手からノートを奪うと、それは無残にもちょっと丸くなてしまって綺麗な平には戻ってくれなかった。


「もう……物は大事にして」


拗ねながら叱ると、リクは二重で黒目がちの瞳を寂しそうに細めて。


「大事にしてても、結局は壊れるかもしれないだろ?」

「……リク?」


どうしてそんな寂しそうな目をするのかわからなくて、私は首を傾げる。

すると、リクは「なんちゃって」と笑って、いつものリクに戻った。


また……誤魔化しちゃうんだね、リク。


実は、時々リクはこんな風に寂しさを瞳に浮かべたり、悲しそうに微笑んだりする事がある。

いつの頃からだったかはわからないけど、そんな時は決まって誤魔化すように笑うのだ。

もう触れないでと言わんばかりに。


本当に、彼はいつから、何を抱えるようになったのだろう。