「あっという間に、奏チャンより年上になっちゃうな、オレたち」

「そう、だね」

「……小春、また泣きそう?」

「まだ、ダメな時があるんだ」


奏ちゃんのいない日々に少しずつ慣れて、亡くした事を知ったあの時に比べたら心の痛みは和らいではくれているけど。

それでも時々、奏ちゃんを喪ってしまった悲しみに涙腺が緩んでしまうことがある。

リクと笑い合って幸せを感じていても、楽しい事があれば、それを奏ちゃんとも分かち合いたかったと、考えても仕方のないことが頭をかすめて。

そんな時、表情を曇らせる私を見たリクは、こんな風に優しく指を絡めて言ってくれるのだ。

リクの瞳が優しく細められる。


「一緒だよ、奏チャンも」


一緒に生きてる。

私を、支えてくれている。

瞼を閉じると、夢現に聞いた奏ちゃんの声が聞こえてくる気がした。


『大丈夫』


いつもそうだった。

泣いていれば優しく頭を撫でて励ましてくれた大切な幼なじみ。


ああ、そうだ。

今思い出した。


この場所で、奏ちゃんも約束を結んでくれたんだ。