──トクントクン。 移植後、大きな問題もなく良好な状態の心臓は、今日も元気に脈打ち私を支えてくれている。 私は、この心臓が奏ちゃんのだと思っている。 確信はない。 知るすべもない。 それでも、そうなのだと不思議と思えるのだ。 何より、よっちんが言っていた。 『柏木先輩は、今日も小春を大切に思っているのね』 以前とほとんど同じように生活できている私を見ながら、笑んでいた。