「それじゃ、お母さんはお父さんと下の喫茶店でお茶してくるから。またあとでね」


移植手術の予定時間まで、あと二時間と迫った頃。

朝から付き添ってくれてる両親が、気を使うように病室を出た。

パタン、と扉が閉まると、今さっき来たばかりのリクが苦笑いを浮かべる。


「小春のお母さん、完全にわかってるよな。オレたちのこと」

「そうだね」


私も苦い笑みを浮かべて頷いた。


ドナーが見つかったと先生から報告された日、その話はもちろん両親にも伝わった。

お母さんは涙を流して安堵し、お父さんは何度も頷き「ありがとうございます」と口にしていた。

私はそんな二人を見て、自分がどれだけ心配をかけ両親を不安にさせていたかを知ったんだ。