桜涙 ~キミとの約束~



「オレも……ずっとそうだった。大切な人を失うのが怖くて、だったら作らなきゃいいって、ひとりのままでいいって思うくせに……ひとりぼっちは怖くて……」


リクも、私と同じように、溜め込んでいた弱さをさらけ出していく。


「だけど、小春の声を聞くとホッとした。小春がいてくれたから、オレは何度も浮上できたんだ」


リクの手が、私の手をキュッと握る。


「……奏チャンがくれた言葉も、そうだった」

「奏ちゃんの?」

「……うん。目、覚まさせられた」


いつの間にか、リクの表情が少しだけ落ち込んだものになって。

二人はどんな会話を交わしたのか。

もしかして、ケンカでもしたのかな……なんて考えた直後、奏ちゃんの話題であることを思い出した。


「そういえばね、一昨日の夜、奏ちゃんにメールしたんだけど返信がないの」


お見舞いのお礼メールだから返事はなくてもいいものだけど、律儀な奏ちゃんはいつもちゃんと返信をくれる人だ。

だから、何かあったのかと心配になっていたんだけど……


「もしかして、風邪で寝込んだりしてるのかな?」


リク、何か知ってる?

問いかけると、リクは少しの間のあと、首を傾げていたずらっ子のように微笑んだ。