「リク?」
「オレ……小春を守れるように強くなろうって空手とか頑張ってきたのに……全然、守れてない。そんな強さ、なんの役にも立たなかった」
リクの指が、私の指に絡まる。
少し冷たいリクの手。
温めてあげたくて、少しドキドキしながら絡め返すと。
「必要なのは、小春の心を支えてやれる強さなんだよな」
うっすらと微笑みを浮かべたリク。
私も、微笑んでみせる。
「支えてもらってるよ」
だって、涙が止まってる。
リクの言葉が、指から伝わる体温が、私の涙を止めた。
「リクが傍にいてくれると安心する。不安が少しずつ溶けていくの」
そうして、私はまた少し、弱さを吐き出していく。
「ここにいると、世界から取り残されたような気がして、このまま誰にも気づかれずに、何も残らずに自分がいなくなってしまう気ばかりしちゃって」
私を取り巻く環境は、あまりにも狭く。
私という人物は、とてもちっぽけで。
きっと、私がこの世から消えても、何も変わらない。
そんな寂しい考えばかり浮かんでしまう。



