桜涙 ~キミとの約束~



人気のない夜の路地裏で、三人は瞳をギラつかせてオレを見ている。

ドレッドが指をポキポキと鳴して。

面倒だなと思いながらも、オレは口を開いた。


「ところでさ、お前らってオレを本気で殺れる?」

「はぁ? てめぇ、俺らが弱いって言ってんのかアアッ!?」


オレの言葉に怒り、殴りかかってくるドレッド。

それを避けてから、オレはかぶりを振った。


「そうじゃねーって。ケンカじゃなくてさ、ヒトゴロシは出来るかってコト」


人殺しというフレーズに、三人の動きが鈍りをみせた。

表情には困惑。

まあ、そうだろうな。

オレは内心小さく笑いながらも言葉を続ける。


「できるならさ、オレは手を出さないから、殴って殺してくんない?」

「……はあ?」


作戦だった。

ケンカをして欲しくないと言っていた小春の為に、オレが考えたイカレ野郎作戦。

瞬時に思いついたにしては、我ながらなかなかイイと思えたのは、最初だけ。


いつの間にか、作戦に……