「オレは、大切な人を不幸にするじゃん?」
言いながら笑ってみせる。
それは、こういう話をする時にする、染み付いてしまった癖。
笑みを浮かべるオレとは反対に、奏チャンは難しい顔になる。
「……陸斗、そうやってお前があ──」
多分、お説教だろうと思われる奏チャンの言葉が……
「あーれー? ほんじょー君じゃないですかぁー?」
気持ち悪さを持った男の声で遮られた。
こっちに向かって歩いてくるのは、いつかオレに絡んだ他校の奴ら。
「……お前ら……」
小春が駆けつけてくれた時の、三人組だった。
「……陸斗、かまうなよ」
奏チャンが静かな声色でオレを諌める。
それが聞こえているのか聞こえてないのか、奴らの一人、多分三人の中でも一番血の気が多いだろうドレッド頭がニヤニヤしながら話しかけてきた。



