桜涙 ~キミとの約束~



遊園地でジェットコースターに乗りたいな。

お化け屋敷はリクが先頭に立ってね。


心臓が治れば問題なくなるものをあげれば、リクはようやく少しだけ笑うと。


「チューもし放題じゃん」


からかうように言った。


「よし。チューの為に、オレはこれからも全力で小春をサポートするっ」


空元気なのだとわかる口振り、表情。

それでも私は……


「移植、早く決まるといいな」

「うん」


それに気づかない振りをして、頷いた。


「きっと、すぐだよ」


移植を待つ人はたくさんいる。

その中で、私にチャンスが訪れる確率は高くないだろう。


現実的に考えれば、すぐなんて確証はない。

それでも、言葉を声にすればそこに力が宿り真実になる。

そんな話をどこかで聞いたことがあった私は、もう一度声にした。


「すぐに、元気になってみせるからね」


未来への希望で、不安を塗り潰す私たち。