「小春、大丈夫?」
「小春ちゃーん。おっひさー」
リクの背後から、制服にコートを羽織ったよっちんと新谷が姿を見せた。
私は目を見開いて喜ぶ。
「わぁっ、よっちんだ! 嬉しい」
気持ちを素直に表すと、よっちんがそっと微笑んだ。
「ちょっと待ったぁ! 俺に会えたのも嬉しいと言ってよ小春ちゃん」
「どうして小春が新谷に会えて喜ばないといけないの? 戯言はまたにして」
新谷の言葉に容赦ない切り捨てをするよっちん。
「よ…美乃ちゃんがヤキモチ、だとっ? ついに……落としたか! いいぜ、おいで。俺の腕の中に」
腕を広げた新谷に、よっちんが深い溜め息をひとつ。
「……ホント、呆れるわ」
相変わらずのやり取りに私が小さく笑うと、リクが二人にパイプ椅子を用意した。
「はい、どうぞ。ほら、新谷も挫けてないで座れよ」
いつもの如く固まったままの新谷は放置でよっちんは椅子に腰掛ける。



