桜涙 ~キミとの約束~



包装をといて、現れたフォトフレームに笑顔を見せてくれたリク。

そんなリクから奏ちゃんへ渡ったプレゼントは、目覚まし時計だ。

ただし、普通の目覚まし時計ではなく、設定した時刻になると動き回って逃げる目覚まし時計。

その場で使ってみた奏ちゃんの感想は「陸斗が増えた気分だよ」だった。

リクはニコニコしながら「可愛がってね~」なんて言って。


その時の事を思い出し、頬を緩ませた直後。

病室内にノックの音がふたつ。

そういえば、そろそろ学校が終わってリクが来る頃だ。


「へい、彼女ー」


……まあ、いつもの感じでちょっとふざけてるけど、予想通り、聞こえてきた声はリクのもの。

彼は病室に入ってくるなり笑顔を見せた。


「どうしたの?」


何かいいことでもあったのか。

私が首を傾げると、リクは唇を開く。


「今日はさ、お客さんが来てるんだ。通していい?」

「う、うん」


誰だかわからないけど、私は頷いた。

すると──