一時間後。 奏ちゃんの部屋でまったりと過ごした私とリクは、暗くなる前にと帰ることにした。 「奏ちゃん、お父さんによろしくね」 「ああ、伝えておくよ」 「そんじゃ、お邪魔しましたー」 リクが手を振って、私もバイバイと言いながら奏ちゃんに手を振った。 玄関の扉を閉めると、夕暮れの住宅街をリクと二人で歩き出す。 私たちは足元に伸びる長い影を追うように、ゆっくりと帰路についていた。