「そりゃ、オレ達付き合っ──」
「リクッ! 伊達巻どうぞー」
危うくリクが喋ってしまいそうになって、私はすかさずリクの口元にお母さん特製の伊達巻を押し付けた。
「むぐむぐっ」
「お母さんおせちありがとう!」
「ふふっ……ごゆっくり~」
意味ありげな笑みを残し、出ていったお母さん。
モグモグと噛んでいた伊達巻をごくんと飲み込んだリクが私を見る。
「もしかしてさ」
リクが何を言おうとしているのかはわかった。
だから私は即座に頷く。
「……まだ、お母さんたちに言ってないの」
だって、彼氏なんて出来たの初めてだし、しかも相手がお母さんとお父さんもよく知るリクだし。
だからなんだか、報告するのがちょっと恥ずかしくて言いにくいわけで。
「でもアレ、気付いてるっぽくね?」
「そうだね……今度聞かれたら言っておく」



