「話してない。でも、わかってるみたいだった」
「それは……さすがっていうか、なんていうか」
リクは笑みをもらして、奏チャンはオレらの事になると勘が働くよなと話す。
言われてみればそうだ。
奏ちゃんは、普段から私とリクのことに関しては言わなくても知っていたり、察していたりする事が多かった。
並外れた観察力があるのかもしれないけど……
奏ちゃんの場合、私とリクを大切に思っていてくれるからかもしれないと思える。
「……あのね、奏ちゃんが、背中を押してくれたんだよ」
クリスマスイヴ。
白い雪が舞い散る光景の中で見た、優しい奏ちゃんの眼差しを思い返す。
『僕は小春の味方。だから、ここから先は小春が自分で確かめておいで』
そう言って、奏ちゃんが私を前に進ませてくれた時の事をリクに話した。
公園に行った事、そこで奏ちゃんが約束した男の子じゃないという事実を知り、記憶の一部が刺激された事。
リクの言葉によって組み立てられた奏ちゃんの推測を教えてもらって……
私と奏ちゃんの関係が結び直された事も、リクに伝えた。
もちろん、奏ちゃんのリクに対する気持ちや葛藤等、詳しいところは語っていない。
それは私が伝えるべきことじゃないとわかっているから。
でも、リクは何となく感じていたのか……
「奏チャンは、変にアタマ使い過ぎなんだよ」
力ない、苦笑いを浮かべた。