お正月くらいは自宅で過ごしたい。

そう零したら、大塚先生が2泊3日の一時帰宅を許可してくれた。

ただし、途中で不調があればすぐに病院に戻る約束で。

何事もなく過ごせますように。

そう祈って12月31日の午前中から帰宅し、一夜明けた1月1日の今日──


「あけおめ! ことよろ!」


お昼の時間が過ぎた頃、家にあったかそうな黒いダウンジャケットを羽織ったリクがやってきた。

本当は、毎年初詣に出かけるので今年もそのはずだったけど、私の体の事を考慮してくれたリクが、今年は初詣には行かず、部屋でまったり過ごそうと提案してくれたのだ。


「あけましておめでとう」


新年の挨拶を返すと、さっそく家に上がってもらう。

リクがスニーカーを脱いで家の中に入ったと同時、リビングからお母さんが出てきた。